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3/27、放射能健診署名10730筆を提出。合計131531筆

【3/27、放射能健診署名10730筆を提出。合計131531筆】
 3月27日に環境省請願交渉と署名提出を行いました。環境省の専門家会議「中間とりまとめ」(昨年12月)と「当面の施策の方向性」(今年1月)で、福島県外の放射能健診を拒否し、県内でも甲状腺以外の健診の拡大を拒否しました。一方2月に福島県が、原発事故以降の子どもの甲状腺がんの治療費を負担すると公表しました。これら情勢の変化のもとでの交渉となりました。
(福島みずほ議員事務所に請願のためのご尽力を頂きました。)
       
 私たちの要求は、①福島県の内外で放射能健診を実施すること、②福島県の甲状腺がんの患者の治療費を国が負担すること、③福島の甲状腺検査のデータは受診者本人のものであるとの原則を確認すること。 交渉はこれらへの回答から始まりました。

【環境省:「放射能の影響でない健康被害は環境省の管轄ではない」「市町村の甲状腺検査データは検討の対象外」】
 以下、質疑・交渉です。(実:実行委員会 環:環境省)
(実)2つ目の要求から。福島県と相談していくと言うが、具体的には?

(環)今は言えない。もう少し待ってください。

(実)福島県との交渉時に、県は2巡目検査で甲状腺がんが見つかって危機感を持っていると表明した。医療費は本来なら国費で補償してほしいと繰り返し言っていた。「当面の施策の方向性」には「県に公付金を出す」と「県と協議する」とあるが。

(環)要望は頂いている。結論はまだ。協議を続ける。基本的には県がすること。

(実)福島県は事故時に18才以下の人の甲状腺の病気を補償対象とした。事実上、原発の影響を否定できなくなったと受け止めている。県民健康調査の延長として、という問題はあるが。

(環)「中間とりまとめ」を踏まえると、原発事故の影響は考えられない。それでも19歳以上でも医療費がかかる人には、放射線の影響か判らないが支援していこう、という判断。

(実)今の話だと、判らないけれどとりあえず支援する、と。福島県の要望を受けてということですね。すると福島県以外の自治体から放射能健診の要求、特に茨城県、千葉県から多く出ているが、1点目の要求だが福島県では認めるが他の所は認めないのはなぜか?

(環)福島県が一番事故で被ばくした人が多い。まずは福島県に、可能性は低いがそういう人が多いので、その点を少し加味して。近隣県では有識者会議の結論で「原発事故の影響は考えにくい」となった。

(福島議員秘書・池田)被ばくはしたけど健康影響はない、という結論は判らない。子ども達のがんや手術がこれだけ出ている。

(環)原発事故による、を抜かすといけない。専門家会議「中間とりまとめ」では原発事故の影響の可能性は低いと。私たちはいつも放射線に被ばくしている。

(実)「中間とりまとめ」は6割が国連、WHOの引用で、いかにチェルノブイリより被ばく量が少なかったと一所懸命に書いている。一方で、福島で多くの甲状腺がんが見つかり、その8割の人がすでに手術を受けている、という現実に全く触れていない。 今日は手元に福島県立医大・鈴木教授の報告書を載せている。術後病理診断で手術54例のうち51例は腫瘍が10ミリ以上か、リンパ節転移など転移があった。9割以上が放置してはまずいがんだった。「網羅的に症状のない子どもを検査して、一杯がんが見つかった、放っておいても一生病気は発現しない」と言う検討委員もいるが、現実にこれだけ、すでに動き出しているがんが多い。
 これらのことが「中間とりまとめ」「施策の方向性」には言及さえされていない、なぜか?

(環)それはあくまで甲状腺がん手術についてのデータ。これが原発事故の影響でがんになったか、手術が必要になったか、を専門家会議で検討してもらった。

(実)それは間違っている。放射能の影響かどうかを見る前に、甲状腺がんがこんなに多発していることを認めろ。今まで多発ではないと言ってきた福島県も、もう言わなくなった。放射能の影響かどうかはさておき、多発の可能性が高いのだから手を打ってもらいたい。福島県はそれで医療費として動き出した。その時、茨城や群馬、栃木は大丈夫と言っていて良いのか?汚染地域の北茨城、高萩、松戸市などが自力で甲状腺検査をやり始めた。なぜ国は支援しないのか?

(環)それは難しい。環境省は全般的な甲状腺がんまで引き受けるわけにはいかない。まず原発事故の影響かどうか調査する。全般的な甲状腺がんは他の省庁に。

(実)でも福島の場合は、放射能の影響かどうか判らないが、国が基金を出して県民健康調査を支援している。他の県、市町村にも同じように関わったらどうか、要望も出ているだろう。

(環)敏感な所はやっているが、県の有識者会議で「放射線の影響の可能性は低い」と。それに市町村の要望はまず県がまとめることになっている。国としては踏み出せない。

(実)「当面の施策の方向性」に、甲状腺がんの手術が増えている現実を反映する文言が何故ない?

(環)その質問を先に受けていれば何か検討できたが、いきなり訊かれても答えられない。

(実)鈴木さんも「当面の施策の方向性」の作業に関わったでしょう。環境省の議論の中で、がん発見数だけでなく、手術例が増えたことは、問題にされなかったのか?

(環)手術例が増えたことも認識して、県立医大に伺って「中間とりまとめ」の結論だと判断して「施策の方向性」をまとめた。

(実)福島県は危機感を持って動き出した。環境省も同じ危機感を持たないか?動き出した市町村、近隣県の人たちの不安は高まっている。

(環)「中間とりまとめ」を踏まえると、近隣県にも同じようにしていくとはならない。専門家会議の結論が施策の判断のベース。

(実)茨城県牛久市が福島県立医大のように甲状腺検査をやっている。さっき放射能対策室の人に訊いた。原発事故時に0~18歳の市民の検査をして今年2月末までに、105人中B判定が8人。牛久市は年1回3000円を補助し、27年度も予算計上。柏市も3000円補助。こうして動いている自治体があるが、この大本を作ったのは国と東電だと思わないか?

(実)B判定が8%もあることは、単に「不安」では済まないと思う。

(環)情報ありがとうございます。検診やセミナーを通じて住民の方の生の声を集めている。専門家会議は、チェルノブイリではヨウ素のコントロールができず、牧草からミルクを通じて小さい子どもの体に入った。日本では事前にコントロールできて、ヨウ素の線量もより少なかった。専門家の判断で線量推定からすると甲状腺がんになる可能性は低い、をベースに検討頂きたい。

(実)住民の生の声とは、どこでどんなふうに集めたのか?

(実)私は松戸市から来た。千葉県に「有識者会議」はあるのか?東葛地域は柏、松戸、流山など汚染調査重点地域。県に任せず東葛9市で復興庁に行ったり、「中間とりまとめ」に意見書も出しているが、さっきの話で、県の有識者会議が「問題がある」と言わない限りどうしようもないのなら、9市長が団結しても何もならないのか?汚染重点地域に指定され、自費で検診もやってきた市に対して支援するのが当然ではないか?

(環)住民の声は住民説明会で、福島県で今年度500人近く、近隣県でもかなりの人数。私の感想ですが、中途半端な知識で誤解されているという印象。千葉県に有識者会議があるかと言うことだが、各県の有識者会議の結論で「放射線の影響は考えられない」と聞いている。

(実)千葉県もですか?

(環)今日その質問に対する答えは持ち合わせていない。私たちは国際機関その中でも公的な機関、国内の専門家会議の判断を公式な材料としている。

(実)さんざん国際機関、専門家会議と言うが、それらが87人も甲状腺がん手術を受けた事実を吹っ飛ばしている。結論に一言も触れられていない。健康被害の責任を回避している。

(環)がんの人数が多い点の責任回避と言うが、専門家会議では、原発の放射線の影響でそうなったとの判断にはなっていない。

(実)『ヨウ素被ばく量が少ない』から出発すれば、影響出ないとの結論になるのは当たり前。一方で放射能の影響を最も受けやすい甲状腺でがんが多発、しかも一生見つからないがんではなくて、現に手術をした人が87人。この現実が全く国の機関で議論されていない。なぜ?

(環)専門家会議で「過剰診断かどうか?」とも議論されてきた。過剰診断の可能性はある。

(実)「過剰診断」の言葉を使った委員は、福島県のがん手術は過剰ではない、これを過剰診断とは言わない、と言っている。すると手術について環境省、専門家会議は一言も議論していない。福島県はがんの多発を否定できなくなって動き出した。「危機感を持って検討している」と。環境省に危機感ないのか?

(池田)鈴木さんは柏とか牛久市や丸森町の検査結果を初めて聴いたのか?この数字を専門家会議の方々は把握しているか?

(環)私は、市町村の判定結果は存じない。専門家会議のことも材料持っていない。

(池田)福島、近隣県の子どものこのような判定が出ているが、それでもなお原発事故と健康被害の関係がないと言うなら、その方々はその責任はどうするつもりか?

(環)市町村が検査をやるのはかまわないが、甲状腺検査は専門的で誰でもできるものではない。各市町村がどうやるか市長の判断だろうが、国はそのデータに責任を持てというのは・・・・。

(池田)専門家会議の人たちは子ども達の健康被害に責任を持たないと言うことか?

(環)国の専門機関でやった時には責任が生まれる。福島県立医大で受診されて診断が出たものは認めるが、それ以外で診断されたものには環境省はタッチしない。

(池田)なら今後、健康被害が増えた時、因果関係なしと判断した国の責任は問われますね?

(環)健康被害が増えているかどうか判らない、原発事故由来の健康被害、という意味で。

(実)被害は増えている。87のがん手術、どう考えても臨床罹患率の10倍ぐらい多い。

(環)数が増えてもそれが原発事故の影響の可能性は低いと判断している。福島では健康調査を詳しく追跡するが、近隣県に診察を広げる事は考えていない。

(実)県外市町村の甲状腺データも集めないのか?それは「当面の施策の方向性」とも矛盾する。「当面の施策の方向性」には近隣県の疾病動向を調査すると書いてある。

(環)甲状腺検査は専門的な知識を要する。決められた機関で受診し診断されたデータで判断する。

(実)それは各医療機関への冒涜だ。私の近くの児童館では30分かけて問診、エコー撮影、小児の場合には内分泌の医師も診る。その場で説明もする。市町村の努力に対して「データは関知しない、勝手にやるのは構わない」と言うのは。各市から環境省に読影できる専門家の養成も要望している。それを待っていられずに動き出したのだ。責任ある省の回答ではない。

(環)専門家の養成は十分承知している。これからようやく始めるところ。

(実)健康不安の聞き取りに莫大な金を掛けるより、医師を養成とか宝呼ぶとか増やさないと、2巡目で8人のがん患者、しかもまだ2巡目検査少ない、心配だ。受診しないでいるとひどくなるのも心配。国の金で検査やってほしい。放射能の因果関係は当たり前、確信している。

(環)リスコミよりも専門家の養成、耳の痛いご意見ですが伺いました。 
【署名は131000を超える】 
 この日環境省は、「甲状腺がんは放射線の影響ではない」「放射線の影響でない甲状腺がんは環境省の管轄外」「専門機関のデータ以外は検討しない」と言って開き直りました。しかし甲状腺手術87例の見解を繰り返し問いましたが、「放射線の影響ではない」「過剰診断」と言うだけで、がんが多発する現実を否定できませんでした。
 
 また市町村の放射能健診の要求を拒否する根拠に、「近隣県の有識者会議」とか「県がまとめるもの」という理屈を持ち出し、土台が実にもろいことを露呈しました。「近隣県の有識者会議」は、千葉・茨城ではその存在も怪しく、栃木・宮城・群馬では、いずれも事故後1年以内に検討を終え、内容も線量評価がほとんどで粗末なものです。政府は、近隣自治体が独自に進める甲状腺検査を強く意識しています。沖縄・辺野古基地と同じく、自治体からの要求と運動が政府の開き直りを崩す力になることを感じた交渉でした。

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 この日提出した署名は10730筆、合計13万を超えました。しかし署名のペースが落ちています。署名キャンペーン用のリーフレットを準備中です。再度、署名運動を全国に広げる工夫と、特に自治体の動きを進めることが重要です。

第5回甲状腺検査評価部会(2/2)の議事録を読みました

【第5回甲状腺検査評価部会(2/2)の議事録を読みました】
 福島県の県民健康調査検討委員会の下に、「甲状腺検査評価部会」があり、甲状腺がんの評価や健康調査のやり方を議論しています。その第5回の会合の議事録が最近公表されました。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/109100.pdf
  
 読んだ印象は、議論の応酬はあるが、最も重要な部分に議論が向かわない。意図的に回避しているのか?と思われます。最も重要な部分とは、甲状腺がんの手術が87例に上ったが、これは異常な多発なのか?そうではないのか?という問題。議事録にはこの部分の周辺をさまよう発言が繰り返し出てきます。
 
(以下、議事録は長いので象徴的なところを抜粋。ただし核心部分だけを抜き出しても議論のつながりが見えにくいので、なるべく流れが判るように引用しました。正確さを求める人は議事録全文を読んでください。)
 
 まず前半。渋谷健司氏が、がんの発見数と手術例が明らかに多いことを認めた上で、異常な多発ではなく「過剰診断」と決めつけます。また甲状腺がん手術が多いのは手術のガイドラインが不適切だからで、作り直せと繰り返し要求します。
 
(渋谷14ページ)
「私の意見としては、今回明らかに有病率は通常のがん登録から予想されるよりはるかに高いということで、可能性としては何か異常な事態が起こっているのか、あるいはいわゆる過剰診断という事が考えられて、今の被ばく状況から考えると過剰診断。」
「やはり今きちんと診療ガイドラインはあると思います。ただそれは病院に症状を持って来た患者さんを対象にして作られた診療ガイドラインであって、今回のように無症状の謙譲な方を対象にして検診で発見された甲状腺がんに対するガイドラインではないわけです。」
 
 これに対して県立医大や検討委員会の委員らから、手術を行う判断は極めて慎重に行った、医学界のガイドラインも過剰診療を考慮して作ったものだ、との反論が繰り返されます。すこし順序が変わりますが、以下のような議論です。
 
(西15)
「例えば今回の本格調査で17.4ミリの方はですね、これは本当にがんだとオペされたか知りませんけども、見つかって良かったんじゃないかなとは思いますですね。それから子供の場合はやっぱり転移も多いですし、肺への転移も多いと文献的にありますので、ですから成人のガイドラインと小児のガイドラインとはですね、ちょっと違うような気がするんですよね。(中略)それ一部はあるかもしれませんけども、全員が過剰診断ではないだろうと。一部は過剰診断があり得るかもしれません。」

(渋谷18)
「そもそも症状がない方でたまたま甲状腺検査、超音波検査をして見つかったがんというのは恐らく前回の津金先生のデータからも一生悪さをしない可能性は高いと。病院にいらっしゃって今の診断ガイドラインに沿った方はもちろん手術しなければいけないけれど、今回超音波検査で見つかったがんのお子さん達はですね、そのガイドラインを機械的に当てはめて良いのかというのを僕は問うているわけです。」

(清水修二18)
「同じ大きさの結節なりなんなり見つかった場合でもその後の扱いに区別をするというふうに仰るわけですか。」

(渋谷18)
「そうです。」

(清水一雄18)
「症状が出て病院に来る患者さんというのは遅いです。ほとんどの患者さんは無症状ですね。痛みもない、たまたま家庭で食事をしている時に飲み込んだらポコッと甲状腺のしこりが動くのが見えて、人から指摘されたとか、そういうところから見つかる。これはかなり大きくなってからですね。で、最近来る患者さんはあの外来でやっていますとエコー検査の例えば頸動脈エコーの検査をやっている。ついでに甲状腺をひっかけた時に見つかってしまったとか、これはあの甲状腺を検査しようと思って病院に行ったわけではなくて見つかる方もいますね。それで比較的進んでいる人もいます。」

(西18)
「子供の場合はですね余命期間が長いですよね。40代50代の人はせいぜいあと30年ちょっと。しかし10歳位だったら70年位ありますから余命帰還が全然違うということと、いろんな英文には書いてあるのですけれどもやっぱり子供の場合は結構大きくなるとアグレッシブにかなりアグレッシブに治療しなければならないからEarly detectionが良いのじゃないかなという傾向もアメリカの報告にそういう風に書いてあるんですよ。だから人間ドックの従来の考え方と子供の考え方とは違うのだろうと。」

(志村19)
「今の診療ガイドラインは症状がある方に対してというよりもそういう偶発的にいらっしゃった方に対するガイドラインという色彩が強いもので、それは今回の検診と基本的には同じだと考えています。あと過剰診断は成人ではごもっともその通りだと思いますが、小児の場合は本当にそれが過剰なのかどうかというエビデンスは無いと思いますので、我々は臨床的にリスクを非常に厳密に評価して対応しております・・・・。」

(渋谷20)
「先ほど西先生が仰った、色んな文献で子供の甲状腺がんというのはアグレッシブであると、転移も多いとそういうことを仰ってましたけど(中略)、今回のように小さくたまたま症状がない方を全て甲状腺の検査をして見つかったがん、本当にそうなのかどうかというのはやはり判らないのだと思うのですね。」
 
 この議論の過程で、手術数が異常に多数である事の意味、特に手術症例の症状の検討・分析や原因の検討に議論が向かうきっかけは幾つかありました。しかし・・・・・・、
 
(渋谷21)
「やってみてこれだけ多数見つかって、80数例も手術されているわけですよね。それぞれが本当にする必要があったのか?そうしたものを考えた点で、前回の津金先生のデータからすると予測される有病率よりもはるかに高くて(中略)、今の被ばく量からするとそこまで出る、あるいは時期的にもそこまで出る可能性は低いというのは皆さん何度も述べているわけですよね。じゃ、可能性としてどうなのかと考えた時、過剰診断(中略)、それが一番妥当であると。(中略)特に過剰診断見つけてしまったことはしょうがない、じゃ、そのあと手術するのかどうか。」

(清水21)
「細胞診で109人見つかって85人手術したわけです。これは前回の委員会・部会の時に、鈴木先生からご説明いただいたように、109人全員手術したわけではなく、その中で専門家、外科医が集まってあるいは内科の先生が一緒だったかもしれませんが、この手術は必要だと判断して行った85名であると私は理解していますけども。」

(鈴木21~22)
「我々は、日本では、過剰診断、診療になるということを百も承知で日本が世界に先駆けてそういう基準を設けて過剰にならないように、なるべく微小がんを取らない、経過観察をするということで、この基準もその1つとして作られたもので(中略)、日本の全国の専門家と相談してこの基準も決めております。その結果でやっていることです。(中略) 今見つかっているのは過剰に早い所ではないですが、一般的にとるべき臨床例の早いほうに来ていますので、ご存じのように片葉切除が非常に多くて、(以下省略)」

(加藤23)
「鈴木先生の話ですと5ミリ以下の結節に関しては、これはもうフォローアップで行くというふうなことをお話しされたと思いますで、で5ミリ以下の結節というのはかなりの部分でがんも含まれているわけですが、それはなるべく触れないでというふうなことでフォローアップして行きましょうという形で、一応そのOverdiagnosisを意識した形で治療を行っているんではないかなと自分自身では感じたのですけど、その辺は意識されているのでしょうかどうか」

(鈴木23)
「剖検例で見つかる甲状腺がんが数十%ある。そのほとんどが5ミリ以下その中でもさらに小さいのです。多数多発して小さい物が多いということで5ミリまではそういうものがかなり含まれるだろうというのが想定されています。それが10ミリっていう所ではまだコンセンサスが正確に得られていないので5~10は二次検査に上げた上で、二次検査で厳しい診断基準で細胞診をする人はそこからセレクトされます。極めて悪性が疑われる人だけ細胞診をする。ですから実際見つかった人も手術例ではご存じのように小さいなりにも進行しているものを今のところ選べているものが多いということで、そういう抑制的な基準で今、子供にも適用しているというところでございます。」
 
 これらの中で、改めて甲状腺がん手術の症例の多くが「一生悪さをしないがん」「見つけなくていいがん」ではなく、「一般的にとるべき臨床例の早いところに来ている」「手術例では・・・・小さいなりにも進行しているものが多い」などが主張されました。
 
 しかし議論はそれ以上具体的に深まらず、『手術は過剰診療ではない』という自己弁護と甲状腺がん手術のガイドラインの是非に終始します。そして渋谷氏が核心を突き、部会長がまとめます。
 
(渋谷22)
「すみません、先生言っていることと僕言っていること全然矛盾していないのですよね。まず過剰診断あると先生認められているのですよね。ですから過剰診断はあるわけですよ。」

(清水22)
過剰診断に気をつけなくてはいけないという所では、意見は一致しているというふうに思います。」
 
 最後にはこんな指摘もありました。
 
(欅田24)
「放射線との関係についてはどうなのかということに関して言えば、これは放射線の影響ではないだろというのは県の見解になっていますし、それは私たち放射線に関する研究をやっている人あるいはUNSCEAR,WHOの国際機関の報告でも(中略)概ね日本、今回の福島の事故の場合はないであろうという風な結論をいただいているところですよね。そしたら・・・手術適用になる人がこれだけおられるということになれば放射線の影響がないというのであれば、全国の人でも同じだけ手術適用のお子さんがいると言うことになると読まれてしまうことにもなりかねないですけど、そこはどうなるのでしょうか・・・」
 
 しかしもうこの問題は取り上げられませんでした。
 
【「過剰診断」で重大問題に蓋をした】
 「放射線の影響は考えにくい。」
 「放射線被ばくによる異常多発はないから、あとは『過剰診断』しか理由は考えられない。」

 これは検討委員会の共通認識、いわば前提条件です。「過剰診断」はスクリーニング効果の言い換え。甲状腺評価部会は大きな矛盾を「過剰診断」の言葉で抑え込んで蓋をしました。
 
 しかし甲状腺がん手術数から判断すると明らかな異常多発。しかも「臨床例」「小さくても進行している」がんだと主張されます。ここに彼らの一番の弱点があります。
 
 前回(昨年10月)、手術54例の94%は10ミリ以上の腫瘍であるかまたは「転移」「浸潤」を伴っていたと公表した県立医大の委員らは、今回は反響を恐れて具体的な資料を出さず、議論の中でも手術事例の症状の具体的な報告・説明をしませんでした。彼らはその意味~福島の子どもの甲状腺がんは「一生悪さをしないがん」ではない~を当然わかっていますから、意図的に議論を避け、蓋をしたのでしょう。これは他の多くの委員も同じです。
 
 こうして議論は本質的に渋谷氏の主張する方向でまとまり、3/24の第6回甲状腺評価部会には、上の議論を反映した「中間とりまとめ案」が提出されました。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/107582.pdf
 
 部会の結論は、甲状腺がんの手術事例の異常な多さは言及されず、再度「放射線の影響とは考えにくい。」そして言い訳のように「事故初期の放射性ヨウ素による内部被ばく線量の情報は、今回の事故の影響を判断する際に極めて重要なものである。」
 
 こうなるのは、検討委員会が被ばく線量の線量評価にしがみつき、現実の健康被害の異常事態を受け入れる腹がないからです。線量評価から出発すれば「健康被害が出るはずがない」と言って、しばらくの間は放射能の健康被害の否定できます。
 
 もう1つの理由は、「県民健康調査」の精度維持を目的にしているから
 
 県民健康調査を続ける上で「過剰診断」の批判は受入可能な範囲です。多少データ数を絞っても、被ばく線量の大小がはっきりしている人を検査する方がデータの有効性は高まる。それにヨウ素被ばく線量の調査は、ICRPの枠内なら「放射線の影響とは考えにくい」を裏づける結果をどうにでも作れます。
 
【県民の不安と不信を無視できない】
 議論の前半は上のように困った結論になりましたが、後半では県民の世論が行政に影響を及ぼしていることがよくわかります。
 (この直後の検討委員会には「県民の声」が初めて資料に上り、報告されました。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/101607.pdf )
 
(福島県保健福祉部長20)
「報道などで過剰診断というのを見て非常に違和感を覚えるという、これは保護者の方のご意見です。なぜかと言いますとまさに放射線被ばく、チェルノブイリの例を皆さん勉強なさっていて、やはり子供さんのことが非常に心配だ,ということで2年にいっぺんと言わず毎年検査してくれというような声が県にも多数寄せられてきたということで、・・・・(以下省略)」
 
 甲状腺がん治療費の公費負担はすでに合意済み。その上で、検査データの所有に関わり県立医大の説明の仕方に議論が流れます。これは現実に県立医大の甲状腺検査の不満・不信が無視できなくなっているから。
 
 しかし根本的な解決策は提案されません。それよりも「そのデータが公費負担をすることによって誰のものになっちゃうの、ということも明示されなければ、やっぱり不安を確実に取り除くことはできない」との発言からは、福島県が甲状腺治療の公費負担により医療データも自分の物にするのか?という疑念が湧きます。県も公言するように、県民健康調査は「検査データは県の物」とする制度です。
  
 3/24の「中間取りまとめ案」も、検査データは本人の物とは言いませんでした。ここにも彼らの矛盾があります。県民健康調査を維持する限り、不信感は減りません。
 
 3月27日、希望する全ての人への放射能健新を要求して環境省と交渉しました。環境省の態度は年末以来の情勢の変化の中で、とても頑なになっていました。一方で彼らの弱点を再確認した交渉でした。福島県の動きを踏まえて、次回報告します。